寒さでがくがく震える自分に気付いたのは病室のベッドでした。

寒い!と半ギレで訴え、電気毛布がONにされたらしく。ここらへんは記憶が曖昧です。
多分この時だと思いますが、人工呼吸器のマスクのお陰で喉がとても痛く感じたため「これ取って!」とさらにキレる。お髭先生が「だからタバコやめなさいって言ったでしょー」と言いながらも鼻と口を覆うマスクを鼻に酸素補給するタイプの管に変更するよう看護師さんに指示してくれたのは覚えています。
これはこれで鼻水が出そう〜と思いながら、また深い眠りに落ちた模様。

次に気付いたのは夜の8時ごろ。今度はベッドサイドに両親がいるのがわかりました。
愛犬が家でひとりぼっちお留守番しているのがかわいそうで、父にもういいよ早く帰ってと言ったことを覚えています。

余談ですが、愛犬は私が腫瘍を摘出してから4ヵ月後、腹部の腫瘍破裂でこの世を去りました。お腹を切ったお陰で彼の最後の夏、自宅療養していた2週間近くを愛犬と一緒に過ごせたこと、本当に良かったと思います。

夜中は浅い眠りと覚醒を明け方まで繰り返しました。病院ノートを見ると「時間がのろのろと過ぎる。というか、過ぎない」との記載 があります。長い夜だったようです。

さて、ベッド上うつらうつら夢と現の狭間を漂う私はといえば、様々なモノにつながれておりました。
生理食塩水・ブドウ糖・抗生剤等点滴チューブにエピ(硬膜外麻酔のチューブ)と尿管。尿管はベッドの足元のウロバッグ(おしっこがたまるビニール!!)へなだらかにカーブを描いて接続されており。更に、一定時間ごとに「シュコー」「シュコー」とダースベイダーの呼吸音のような異音を発するのは、両足に装着されたマッサージ機。これは血栓予防です。
点滴やマッサージ機は特に不快ではないのだけれど、何が痛いって見回りの看護師さんがウロバッグをチェックする時に尿管が引っ張られつられて膀胱内のバルーンが引っ張られること!です。最初から最後まで一番不快だったのがこのウロバッグチェックでした。1晩だけの我慢と思いつつ、ぐっと堪える一晩でした。

翌朝。

割合すっきりとした目覚め。あー私は大手術から生還したのね、生きてるって最高!としみじみしたり(嘘です)。
先ずは採血し、そしてエピ抜去です!エピはあっさりするっと抜かれてしまい拍子抜けでした。入れるのは大騒ぎだったけどね〜。マッサージ機も取り外されました。バイバイダースベイダー。
お待ちかねの食事は全粥です。子どもの頃障子を貼る時に使う糊を見たことがありますが、それを更にうすーくうすーくしたような。舌切り雀でも舐めないだろうという。正直とってもおいしくなく、頑張って半分頂いて、お茶を飲んで終了。
点滴は相変わらず続いております。看護師さんが来る度に「尿管取って〜!!」と訴えるのですが、お昼にね!と言われがっくり。

何も出来ない状態なので大人しく時間が過ぎるのを待ちました。私が大人しくベッドに寝ていたのは、思えばこの24時間だけだったような気がします。

朝の重湯よりは濃度の濃い、それでも決して「粥」とは呼べない代物の昼食が配給された後、念願の尿管抜管タイムです。この瞬間を心待ちにして尿道を長くしていた(?)私には何よりのご褒美。丸出しおっぴろげ状態でベテラン看護師さんに「痛い?」と聞きましたら「全然!」との心強いお返事。先ずはバルーンをしぼませて、「息を吸って〜吐いて〜吸って〜吐いて〜」の2回目の吐いて〜でぬるっと抜けました。ちっとも痛くな〜い!これで、点滴以外の管から開放されたのです。ああ幸せ。

さて、ベッドサイドで片付けをしながら看護師さんは「おトイレ行く時とか、最初に歩く時はナースコールしてね」と言ってました。尿管が取れた私は幸せの中(さてどうやって起き上がったらいいものか)と別のことを考えつつ生返事を返しておりました。看護師さんが出て行ってからリモコンでベッドの高さを上げてみたり下げてみたり、頭の部分を上げてみたり下げてみたり、
ヘイヘ〜イ、私起き上がれんばい!!
わけのわからない方言もどきで表現したくなるほどの混乱に襲われております。
多分数分は、そうしてごちゃごちゃもぞもぞしておりました。そして苦心の末、ベッドから足を下ろし、両腕で上半身を支え起き上がり、めでたく着地。一仕事終えた気分でスリッパを履き、すかさずタバコとライターとカードキー(病棟の入出に必要、ないと締め出される)を手に取り、術部を手で押え魔法使いのおばあさんのような前かがみの姿勢ではありましたが、わりとさっさか歩いてすたこらお出かけto喫煙所。
ボタンを押してエレベーターを呼んでいる間、背中にあるナースステーションから看護師さんの報告が聞こえてきます。「○さん尿管取れましたので初回歩行の付き添いお願いします」。うおい!私はもう歩いているぜベイベー。一言言っといた方がいいわね、と思った途端エレベーターが到着し、喫煙所行きの扉が私を迎え入れようと大きく開きます。思わず筐の中に乗り込む私。1階のボタンを押そうと回れ右した瞬間、Aさんと目が合います。Aさん「あ〜!!(○さんそこにいます!というニュアンス)」私「あ〜!!(報告しようとしたんだけど一人で歩けちゃったからもう大丈夫だしエレベーターも来たからとりあえず喫煙所行かせて!のニュアンス)」。あーあー言う私達を引き裂く扉。

後でちょっと怒られましたが、とにかく無事に一人立ちした私は1日ぶりのタバコを美味しく味わいましたとさ。









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